2015年、揺れるフランスよりごあいさつ

Posted on by on 1月 12th, 2015 | 0 Comments »

みなさま、昨年も大変お世話になりました。新年のごあいさつが遅れてしまいましたが、本年も変わらぬお付き合いを、どうぞよろしくお願いいたします。

OLYMPUS DIGITAL CAMERAさて、りんご野フランスのメンバーが住むパリでは、新年早々、市内の風刺新聞社Charlie Hebdo(シャルリーエブド)が襲撃され、その余波でさらに多くの方達が巻き込まれ、犠牲になりました。昨年の活動報告もしつつ(後日「お届けリスト」と「みなさまの声」ページを更新します)、今年の抱負を誓いたかったところですが、りんご野のたくさんの仲間が暮らすフランスの状況をほんの少しですがお伝えすることで、寒中お見舞い申し上げます。

このたび襲撃されたシャルリーエブドでは、日本の震災の後、原発事故の特集を組んだりもしていたので、画像など見たことがある方もいるかもしれません。また2020年東京オリンピックが決まった際に掲載された、たこ足相撲の風刺画を見て、不快に感じた方もいるかもしれません(フランスでも犠牲者たちが英雄視される中で、雑誌の内容については賛否両論があります)。ただ、それが殺人を認める理由にならないのはもちろんですが、この雑誌はそもそも、政府でもバチカンでもフリーメーソンでも、あらゆる権力に対して、一貫して笑いを通して批判するという姿勢を取っていたのです。この雑誌の背景についてはアツコ・バルーさんのブログに詳しいかと思います。(リンクはこちら

この風刺の感覚、りんご野パリでも似たようなことはあります。例えば、イベントでりんごを売っていたある日、「これは放射能りんごだよね?」と聞かれて、「あっ、ごめんなさい、配合するの忘れてました」と答えたら、大笑いして、グッズを買ってくれたこともありました。フランスでは日常会話がこんな調子なのです。慣れないと単なるいやみに聞こえるかもしれませんが、これは決して相手を攻撃しているわけではなく、笑って返すのが一般的です。個人攻撃とはまったく別物なのです。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 年明け早々に起こった恐ろしい出来事に対して、口々に「Je suis Charlie – 私はシャルリー (襲撃された出版社)」とか、「Nous sommes tous Charlie – 私たちみんながシャルリー」と、連帯の意志を表したり(状況は全然違いますが、日本の震災後の「絆」や「つながろう」といったスローガンを彷彿とさせます)、一方で「テロは反対だけど私はシャルリーじゃない」とか、「私はアフメド(死亡した警察官、イスラム教徒)」、「私はカシェール(後日犠牲者の出たパリ市内のユダヤ系スーパー)」、などという人もいる中で、ショックと悲しみはほとんど皆共通していて、追悼の行進も各地で行われました(これには多くの便乗があるため、純粋な追悼ではないという声も多いのですが)。また、暴力とイスラム教とは別物、一部の狂信者を大多数のイスラム教徒と一緒にしてはいけない、ということも繰り返されています(多くの人は混同していないのですが、一部の人たちによって礼拝堂などが攻撃されています)。

「表現の自由を守る」というと、ジャーナリストやアーティストなど、一握りの人たちにしか関係のないように感じるかもしれませんが、私たちの普段の生活でも、「批判が怖いから黙っておこう」と、言いたいことをしまい込んだりなど、心当たりがないでしょうか(私はあります)。この事件を通して表明されたのは、報復を恐れず自主規制しなかった新聞社への敬意その他諸々に加えて、「保身のために黙ることはしたくない」、という、多くの在仏人が共有する価値観でもあると思います。「巻き込まれたくない、この場をやりすごせばいい」、という姿勢とは正反対です。フランスでは、普段から、何か納得の行かないことがあったら、見て見ぬ振りをせずに、出しゃばりでも介入する、地下鉄などでも、ベビーカーや大荷物の人がいたら自然に助けあう、という光景は日常茶飯事なのです。

この襲撃のニュースに動揺していた矢先、りんご野の募金集めのイベントの会場が3月14日に決まった、という連絡がありました。企画を持ちかけてくれたのは、以前から協力してくれていたFestival Electroniqueの友人たち。テロからちょうど2ヶ月後のイベント。フランスも大きく揺れている今、日本の子ども達のための活動にどうやって共感してもらおうか、一体どんなメッセージが伝えられるのか、など、かなり悩みどころなのですが、時間は待ってくれないので、フランスの仲間たちに背中をバシバシ押されつつ、準備に取りかかっています。りんご野の活動に共感してくださる方、イベントに協力してくださる方、ぜひご連絡ください!

それでは、2015年、みなさまにとって実りのある年になりますように。今年もりんごで元気!

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